療育
このページでは、発達障害の子を支援するための「療育」について、具体的な内容や、早期療育の重要性などをまとめています。
発達障害児のための「療育」とは?
療育とは、発達障害などで支援を必要とする子ども達に、「医療」と「教育」の両面から、社会的な自立のための訓練を行うことです。医師の診察や検査によって子どもの状態や特性を把握した上で、療育センターや発達支援塾などで専門的な教育支援プログラムを受けることになります。
福祉施設での療育訓練を受けるには、児童発達支援等の受給者証が必要になります。市役所の保健福祉課などで申請書がもらえますので、事前に自治体のサイトなどで確認しておきましょう。小学生以上になると、この受給者証の名称が「放課後等デイサービス受給者証」に変わります。また、療育訓練を受けるのには、療育手帳(発達障害児の障害者手帳)は必要ありません。
療育の対象となる児童は?
療育の対象となる児童の条件をしっかりと知っておく必要があります。まずは年齢に規定があります。18歳以下の児童が対象で、抱えている障害は身体障害、知的障害、精神障害の3障害のいずれかに該当することが条件です。発達障害もこれに含まれます。
参照元:[PDF]厚生労働省HP:https://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/10/dl/s1031-10e_0001.pdf
「公費での療育」と「私費での療育」がありますが、公費で療育を受けたい場合は受給者証が必要です。この受給者証は、各自治体が発給しています。診断結果などを提示することで発給する地域もあるので、事前に確認しましょう。受給者証を持っていると、公費での療育の児童発達支援にかかる費用の9割が免除されます。負担金には上限があるため、受給者証を得た際には上限を確認しておきましょう。
発達障害のある子の療育ってどこで受けられるの?
発達障害のある子に向けた療育は大きく分けると2種類のものがあります。1つ目は「通所型の療育」で、その字の通り、通って療育を受けるタイプのものです。様々な支援がありますが、放課後に通うタイプのデイサービスや、児童発達支援のクラスなども用意されているので、自治体などに確認をしましょう。
もう1つは「入所型の療育」で、自分の家ではなく施設で生活するタイプのものです。福祉型と医療型に分かれるので、適切なものを選ぶ必要があります。人によって合うサービスは異なります。どのタイプが適切なのかは自身で調べるだけでなく、調べた上で実際に足を運び、見学してみることで長く利用できるのかどうかの判断もできるでしょう。年齢層や自宅からの距離などを選択の基準とするのも良いかもしれません。また、自身で決めるのが難しいと感じた場合には、専門家の意見を積極的に聞くようにしましょう。
発達障害の療育法、どんなことをするの?
療育訓練では、具体的にどのようなことをするのか、主な療育法について紹介していきます。
- SST(ソーシャルスキルトレーニング)
数名のチームでロールプレイングを行い、生活の中で起こる色々な場面を疑似体験することで、対応の仕方などを学びます。自分の気持ちを相手に伝えたり、相手から言われたことに対応したりできるようになるための訓練です。 - 作業療法
簡単な体操や歌、制作などを通して、日常生活におけるいろいろな動作をトレーニングします。基本能力(運動機能・精神機能)、応用能力(日常生活)、社会生活適応能力(地域活動・就学準備)の3つの能力を伸ばすことが目的です。 - 理学療法
食事、トイレ、入浴、更衣など、日常生活動作のための訓練・運動などを行います。検査や測定の結果に基づいて、運動療法・物理療法によって身体機能を高めていくトレーニングです。
このほか、発達障害のある子どもとの関わり方などを学べる、保護者向けのセミナーなども開かれています。
早期療育・適切な教育支援が大切です
発達障害の療育は、できるだけ早い時期から始めることが大切です。子どもに合った早期支援を見つけて、適切なサポートを受けさせることで、その後の社会適応能力が高まるなどのメリットがあります。
また、発達障害の傾向がある子ども達は、周りに理解されにくいため、そのままにしておくと自己評価が低下してしまいがちです。こうした二次的被害を防ぐためにも、早期療育や適切な教育支援が役立ちます。
早期療育を受けることで、親が子どものことを理解することができ、関わり方を変えられるのも利点です。同じ悩みを持つ親との出会いで、親御さんの気持ちも楽になると思います。
子どもの能力を伸ばしてあげるためにも、親御さんの気持ちの面でも、できるだけ早く療育や教育支援をスタートすることをおすすめします。
発達相談から公的な療育を受けるまでの流れ
子供がもしかしたら何かしらの障害があるかもしれないと思った時、どういう流れで療育を受けさせれば良いのでしょうか。ここでは発達相談から療育を実際に受けるまでの流れを説明します。
1.相談をする
健診や日常の会話の中で発達の遅れなどが疑われる場合は、まずは療育センター、児童相談所などで相談をしましょう。子育て支援室、発達支援室などが各自治体にも用意されています。自分一人では抱え込んではいけません。
2.発達検査
次に発達検査と呼ばれるものを受けます。年齢に応じた検査が複数用意されており、組み合わせて検査をすることで、より正確な結果を得ることができるでしょう。発達支援センターなどで検査を受けられる場所を紹介してくれます。最寄りの検査場所で検査を受けるようにしましょう。
3.療育ができる場所を探す
発達支援を受ける必要があるとわかったら、療育を受けることができる場所を探します。療育と一言にいっても様々なタイプのものがあり、子供に合った療育施設を見つけることが大切です。
4.受給者証の申請(公費を使用したい場合)
最後に公費での療育施設を選ぶ場合は、受給者証を申請しましょう。市町村区役所の窓口で申請を受け付けていますが、発行に少し時間がかかります。ですので、療育施設を探しながら、並行して申請するのが効率的だといえるでしょう。
療育の効果
療育から期待できる効果は、その子どもに生じている困難や障害、療育の目的やプログラム内容、療育を受ける頻度や時間、指導者の専門性や相性などによって、効果のあらわれかたや、あらわれる時期などに違いがあります。
療育現場では、子ども一人ひとりの個性や特性、発達段階に合わせ、個別にプログラムが組まれています。プログラム内容によって、「食事や排泄など身のまわりのことが一人でできるようになる」、「受け答えやあいさつができるようになる」、「他者の表情や感情を理解してコミュニケーションが取れるようになる、得意なことで苦手なことをカバーできるようになる」など、さまざまな効果が期待できるでしょう。また、療育を通じて保護者が子どもとの関わりかたを学ぶことで、より豊かなコミュニケーションが取れるようになる、保護者自身の心が軽くなることも考えられます。
療育の効果はゆっくりとあらわれる場合が多く、短期間で目に見えて効果が発揮されることは稀ですが、指導者や専門家と話し合いを重ね、適切な働きかけを続けることで、子どもは着実に成長していきます。
療育の体験案
幼いうちから療育に取り組むことで、発達が促されることはもちろん、その子の持つ特性について、周囲からの理解が得やすい環境を作ることに役立ちます。特性が理解され、心の安定が保たれる環境で育つことで、自身の持つ能力をさらに伸ばしていける可能性も広がります。
発達障害のある子が周囲に理解されないまま成長すると、傷つくことや自信をなくす場面が多くなり、ストレスなどから起こる「二次障害」を引き起こしかねません。そのようなことを防ぐためにも、療育の効果が期待されています。
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