通常の学習塾との違い
通常の学習塾と発達障害児のための塾はどう違うのか、子どもへの接し方や講師陣、プログラムなどについて解説しています。
発達障害児のための学習塾と一般の塾との違いは?
発達障害や学習障害のある子どものための塾は、通常の学習塾とどのように違うのか。
発達障害や学習障害児のための塾のポイントをまとめてみます。
年代別発達障害児向け学習塾の特徴
小学校低学年
小学校低学年は非常に重要な時期だともいえるでしょう。学び始めて間もない時期ということもあり、この時期に失敗してしまうと学習が苦手になってしまう可能性があります。そのため、まずは学ぶことが楽しいことだと思えるようにサポート体制を取っているところがほとんどです。
すでに学習がかなり遅れてしまっている場合でも、個別学習に力を入れている学習塾であれば、一人ひとりの成長に合わせて異なる勉強内容を用意してくれます。それぞれがムリなく、楽しく学んでいけるようなカリキュラムを採用しているところばかりなので、遅れがあるから学習塾に通わせるのはムリなのでは…といった心配を抱えている方も、一度検討してみて良いかと思います。
また、小学校低学年の場合は担当制をとっているところも多いのが魅力。小さいうちは毎回担当が変わるようなシステムだと混乱してしまうこともあるかもしれませんが、そういった点でも対策を取っているところが多いです。
注意点として、お子さんの中には個別指導が向いているケースもあれば、グループ指導の方が向いているケースもあるので、学習塾で用意されているコースはよく確認しておきましょう。
特に小学校低学年のうちは、最初にコミュニケーション能力を身につけることが大切ですよね。学習力を高めるというよりも友達とのトラブルなく遊べるようになりたい、自分の感情をうまくコントロールできるようになりたい、といった悩みに対応している学習塾も多いです。
小学校高学年
小学校高学年になると、学習についても力を入れたいと考える方が増えてきます。中学生になるための準備として、学力を高めたいと思っている方にも学習塾が向いているといえるでしょう。
学習に関して特に悩んでいる方が多いのが、じっと授業が聞けなかったり、集中力が続かないということ。そのため、学習塾に通わせたとしてもまともに学べないのでは…といった心配を感じている方もいるかもしれませんが、学習に対して前向きになれない大きな理由は自分に合った学び方ができていないからかもしれません。
一般の塾とは違い、発達障害児のための学習塾であれば一人ひとりの特性を理解し、どのような学び方であれば学習に対して前向きになれるのかを把握した上で学んでいくことができます。
また、中学に入ると小学校の頃とは友達がガラリと変わる地域もありますよね。そのため、新しい友達とも仲良くやっていくためのコミュニケーション能力を更に高めるクラスを用意しているところも多いです。
注意点として、小学校と中学校の大きな違いともいえるのが、中学校は小学校に比べて授業時間が長くなるということ。1時間の授業が10分~15分長くなるため、さらなる集中力が求められます。中学校に上がった時の集中力が心配…という方は、早めに集中力向上が目指せる学習塾を探してみてください。
中学生
小学生の時は何とかなっていたものの、中学生になってから学習塾を検討しなければならない状態になる方も少なくありません。実際に中学校に入ってから学習で挫折してしまうお子さんは珍しくないため、学習で不安を感じている方もいるでしょう。
だからといって一般的な塾といえば、学校で習うのよりも高度な内容になるため、基礎的な勉強が理解できていないようであれば難しくなってしまいます。
学習する内容も小学校とは変わってくるため、発達障害児のための学習塾では一人ひとりに合わせた学習面でのサポートに力を入れているところばかりです。
注意しなければならないのが、中学生といえば非常に多感な時期であり、不登校が発生しやすくなる時期ともいえます。部活に入ってもうまくかなかったり、科目ごとに変わる担任に不安を感じたり。コミュニケーション能力が十分に磨かれていないとこういった問題に直面しやすくなるため、対人関係で不安を感じているのであれば、まずは学習よりもコミュニケーション能力を磨くことに力を入れている学習塾を選択してみてください。
中学生になると自己管理や、自らの判断で行動する能力も求められるようになりますが、こういったものが不足していると感じている場合も発達障害児のための学習塾であればきちんとサポートするコースが用意されているので、相談してみましょう。
授業内容
状況や得意不得意が1人ひとり異なるため、発達障害や学習障害児のための塾では個々の能力や希望に合わせた個別指導計画を作成するのが一般的です。
できることをもっとできるように、できないことを少しずつでもできるよう、将来への可能性を引き出すように様々なアプローチを行っていきます。
勉強の中では、一人ひとりのお子さんに合わせた言葉を選ぶことによって問題が解決するケースもあります。
例えば、「1と1を足すと?」ではうまく理解できなかったお子さんでも、「1と1を合わせると?」ならば理解できたというような事例もあります。他にも、漢字が覚えられないお子さんはその成り立ちとイメージを組み合わせて教えることも。
通常の学習塾の場合、こういった細やかなサポートを受けるのは難しくなってしまうため、どうしても遅れてしまいがちですが、発達障害児のための学習塾ならばそういった心配も少なくなります。発達障害児のための学習塾であれば、一人ひとりのお子さんをよく観察しながらその子に合った授業内容で進めていくことができるので、効率よく理解できるでしょう。
学習環境
子どもが楽しく通いやすいように、学習環境を工夫している塾が多いです。まわりの子とコミュニケーションが取れない、感情をおさえられない、集中して席に座っていられない子どもでも、1対1の個別指導なら講師がじっくりと付き合ってくれます。
塾によっては内装を可愛くして子どもが進んで通いたくなるような雰囲気にしていたり、子どもの様子をモニターで見ながら親同士でコミュニケーションを取れるサロンスペースを提供しているところもあります。
一般的な塾で使われているような教材では十分に理解できないケースもありますが、より理解能力を高められるようにオリジナルの教材を使用しているところも多くあります。発達障害児のための学習塾で特に大切にしているのは、楽しく学んでいくということ。
例えば、ただ「友達と仲良く過ごすように」と言われても難しいかもしれませんが、「友達と一緒にゲームをしながら仲良くなる」といった方法で楽しくコミュニケーション能力を身につけられる学習塾もあります。
集中力が続かなくてすぐに席を立ってしまうお子さんに対しては、集中力が欠ける原因となる不必要なものを教室に置かない、机の場所を考えて気が散るものが見えない場所で学ぶなどの対策をとっているところも多いです。
講師陣
発達障害や学習障害のある子どものための塾では、講師陣も特別です。例に挙げると、講師は採用後1ヶ月間は行動面・社会性面・学習面についての講義を受け、擬似授業を繰り返し、実際の授業にアシスタントして参加して経験を積みます。その後ようやく子ども達を指導できる、というシステムを取っているところも。
発達障害の専門知識を持った講師がいる塾なら、1人ひとりの特性を理解して、良い方向へと導いてくれると期待が高まりますね。質の良い講師による指導を受けることで、子どもの良いところをぐんと伸ばすことが可能です。
学習塾に入られたお子さんがどのような性格なのか?などについては、事前の面談でしっかりと判断してくれます。担任候補となる講師が複数人いる場合、どの講師が最も向いているのかも見極めてくれるので、安心してお任せできるでしょう。
発達障害児のための学習塾と一般の塾との最も大きな違いとして挙げられるのが、講師の発達障害への理解度ともいえます。一般的な学習塾に通っていたものの、いつも講師に怒られてばかり…というお子さんもいますが、このような環境だとますます学習が苦手になるでしょう。
そういったお子さんでも発達障害児のための学習塾に通い始めたところ、「先生が優しくて勉強が楽しい」と学習に前向きになれるようになった事例もあります。
特別プログラム
通常の塾ではあまり見られないポイントに、イベントなどの特別プログラムが挙げられます。
発達障害や学習障害のある子どものための塾では、子どもの可能性を伸ばそうと、さまざまな方向からアプローチをかける特別プログラムを用意してくれるところがあります。
科学の実験教室、ワークショップ、ダンス教室、陸上教室、乗馬体験、バーベキューなど、塾によって内容はさまざまですが、子どもに良い刺激をあたえてもらえるチャンス。
積極的に参加してみたいという方は、特別プログラムを多く用意している塾を選ぶと良いですね。
例えば、発達障害を抱えるお子さんの中には絵画の分野で並外れた才能を発揮する子もいます。そのため、絵画展を開催している学習塾もあるのです。
それまで、自分の気持ちをどのように表現すれば良いのかわからず悩んでいたお子さんの中には、学習塾で行われた特別プログラムをきっかけに絵や文字、音楽などで感情を表現できるようになる子もいます。
なかなか友達の輪に入れずにいたお子さんの中には、特別プログラムで行われたダンス教室がきっかけで自然とお友達と向き合えるようになったり、プログラムの中で周囲と協力して物事をやり遂げる達成感を学び、協調性が向上したケースもたくさんあるのです。 一般的な塾ではなかなか体験できないものもたくさん開催されています。
サポート
学習面の指導だけでなく、子どもが過ごしやすいように環境を整えるよう働きかけてくれたり、親のサポートも行ってくれるのが発達障害や学習障害のある子どものための塾の魅力でもあります。
学校との連携を行ってくれるので学校生活が快適になったり、学校での支援方法に具体的に提案をしてくれたり、不登校の子どもは塾との連携により出席日数へ換算できたりする事もあるようです。
一般的な塾では親へのフォローはなく、ただ学習させるだけ。
それに対し発達障害や学習障害のある子どものための塾では、塾と家族が二人三脚で子どもの成長を見守る、伸ばしていくという考え方になります。
発達障害や学習障害のお子さんを抱える親は、いつも不安や悩みがあるもの。子どもだけでなく親自身もサポートしてくれる塾はとてもありがたい存在となります。
発達障害のお子さんがいる場合、家でどのように勉強させれば良いのか、困ったことがあった時にどのように向き合えばいいのか頭を抱えて不安に思っている方も多いでしょう。簡単なことができなくてすぐにしかりつけてしまい、自己嫌悪に陥る方もいますが、悩んでいる保護者の方に向けて、お子さんとの向き合い方のアドバイスをくれる学習塾が多いです。
例えば、静かな場所でいつも騒いでしまう子供に悩んでいると相談したところ、「具体的にどれくらいの声量でならば話していいのか伝えると良い」といったアドバイスを受け、そのようにしたら大きな声で騒ぐことがなくなったなどの事例もあります。専門的な目で見たアドバイスが受けられるので、お子さんとの向き合い方を良好なものにすることにもつながるでしょう。