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注意欠陥/多動性障害(ADHD)

落ち着きがない、忘れっぽいなど注意欠陥多動性障害(ADHD)・多動児の特徴とおもな症状をまとめています。

ADHDの子はどのような塾に通わせるべき?

子どもがADHDだった場合、よく考えておかなければならないのが、どのような塾に通わせれば良いのか?に関することです。ただ単に厳しく学習に関するしつけをしたとしても良くなるものではないので、適した塾に通わせることにより、学力向上が期待できます。

ADHDの子どもでも入れる塾はいろいろとあるのですが、その中でもどういった塾が子どもに向いているのか、どのようなポイントにこだわって塾探しをしていけば良いのかについてまとめるので、是非とも参考にしてみてください。

塾に通わせることによって、自分ではうまく理解できなかったことなどを1つずつ学んでいくことができるので、子どもを信頼して任せられるようなところを探しましょう。

集中力を高め途切れさせない工夫

ADHDの大きな特徴ともいえるのが、物事に集中できないということです。そのため、塾に通ったとしても、しっかり学べるの?と不安を抱えている方もいるかもしれません。

大切なのは、子どもが集中力を持続できるような取り組みを行っている塾を選ぶということ。

例えば、おもちゃなどの気が散ってしまうものが近くにあるとどうしても集中力が長続きしなくなってしまうので、こういったことを理解して余計なものは排除してくれているところを選びましょう。

特に視覚的な刺激が入ってくるとあっという間にそちらに気持ちが移ってしまうこともあります。塾を見学に行った際に、「余計なものがあれこれ置いてあるな…」と感じるところは避けたいですね。

具体的な手本を見せ上手にほめてくれる

ADHDの子どもの場合、言葉でうまく伝えようとしてもそれがなかなか難しいのが実情です。そのため、ただ言葉で指導するのではなく、具体的なお手本を見せてくれるところを選びましょう。

目で見たことによって理解できるようになる場面もたくさんあります。

そのために必要な道具やテキストをしっかり用意してくれるところだと理想的ですね。また、塾で良い成果が出た場合には、それをその場ですぐにほめてくれるところだと、ADHDのお子さんも喜びを感じやすくなります。

どのような時にほめるか?というのは塾の方針によっても異なるところがあるので、このあたりについては事前に良く確認しておいたほうが安心できるでしょう。

好ましくない行動が見られたらサポート

ADHDの子どもは、自分でも思うようにならないことに腹を立ててしまったり、それによって好ましくない行動をすることもあります。

ただこれを叱ったとしても効果は薄いので、状況に応じて適切な対応をしてくれる塾を探しましょう。

例えば、叱るのではなく少し遠くから見守るようにする、精神的に落ち着いていない場合は落ち着かせることを優先させるなど。それに、仮に好ましくない行動をとったとしても大声で怒られてしまうとADHDの子どもは萎縮してしまいます。

どのような場面でどのような指導をしていくのが正しいのかを理解してくれている先生のいる塾を選んでおくと、ADHDの子どもでも安心して伸び伸びと学んでいくことができるでしょう。

うちの子はADHD?注意欠陥多動性障害・多動児の特徴

ADHDとは、Attention-deficit / hyperactivity disorder(注意欠陥・多動性障害)の頭文字をとったもので、「不注意(物事に集中できない)」「多動性(落ち着きがなく、じっとしていられない)」「衝動性(思いついた行動を唐突に行う)」の3つの症状を中心とする、発達障害を指します。

日本では6歳~15歳までの子どもの7~10%前後が、ADHDの特徴に当てはまりますが、実際に学習面や日常生活で支障がある子どもは3%程度だと言われています。

ADHDの子どもは診断がない状態では、「乱暴もの」「しつけのできていない子」「悪い子」という評価を受けやすくなり、また子どもだけでなく保護者も「育て方やしつけ方が悪い」という誤解を周囲に受けやすくなります。

定的な評価が続くと、発達障害による問題だけでなく、今度は二次的な問題が出てくる可能性もあります。

先生や保護者から怒られ続けることで、劣等感をもちやすくなる
学校で孤立しやすい
無力感や不安感など、情緒不安定になる
衝動性が強い場合、友達とトラブルになりやすい
いじめやからかいの対象になる

ADHDのおもな症状、不注意・多動性・衝動性の3つを紹介するので、「もしかしてうちの子はADHDでは?」と感じたら、当てはまる症状をチェックしてみて下さい。

ADHDのおもな症状

【不注意】

  • 好きなこと興味があることに集中しすぎて、切り替えができない
  • 同じことを繰り返すのが苦手、最後までできずに諦める
  • 色々なことに手をだして優先順位がつけられない、手順が分からなくなる
  • 面と向かって話しかけられていても、聞いていないように見える
  • 課題や遊びの途中で注意がきれて投げ出したり、自分の順番を忘れる
  • 細かいところまで注意がいかず、単純な計算ミスや間違いをする
  • 課題や活動に必要なものを忘れる、なくす

【多動性】

  • 授業中に立ち歩く、他の子の邪魔をする
  • 座っていても我慢ができず、そわそわする
  • 姿勢が悪く、姿勢を保持できない
  • 遊びや余暇活動に夢中になりまわりが見えなくなる、すぐふざける
  • 一方的にしゃべる、声が大きい、話の内容がころころ変わる
  • 授業中に勉強のこと以外でも、思ったことを友達にしゃべり続ける

【衝動性】

  • 思ったことや知っていることを、言わなければ気がすまない
  • 指名されていないのに答えてしまう
  • 順番を待つのが難しい
  • やりたいという思いが強く、ルールを無視する
  • 人がもっているものを気になると触らずにいられない
  • 周りが見えないため、大声で自己主張する

子どもの年齢別にみるADHDの症状

ADHDにおける代表的な3つの症状は、「多動」「衝動」「不注意」です。これら3つの症状がすべて見受けられるがADHDの特徴ではありますが、どの要素が強く症状としてあらわれるかはバラつきがあります。年齢によりそのバラツキ具合にも一定の傾向があります。ここでは、0歳から18歳を3段階に分け、それぞれの段階で特に目立つ症状の特徴を説明していきます。

0歳~5歳の特徴

  • 0歳
    音・光に対して過敏な反応を示します。また、夜泣きが激しかったり、かんしゃくをひんぱんに起こしたりする傾向が見られます。
  • 1~5歳
    年齢が上がっても、赤ん坊特有の「多動」が減っていきません。衝動的な言動が強く見られます。

6歳~12歳の特徴

  • 6~8歳
    多動だけでなく、不注意な言動も目立つようになります。
  • 9~12歳
    多動に関しては徐々におさまりますが、不注意は引き続き目立ちます。その結果、自尊心が低下したり、あるいは学校へいきたがらないなどの「二次障害」が生じる場合もあります。

13歳~18歳の特徴

不注意の症状が強いまま残ります。多動の症状はほとんど見られなくなるケースも多いです。この年齢に達すると、本人がADHDの症状を自覚し、かつそれを前向き受け止めて行動するために周囲の助けを上手に求められる場合もありますが、そうでない場合は二次障害に苦しむケースもあります。

ADHDの男女比:男性に多いADHD

日常生活や学業において、マイナス作用をおよぼす可能性が高いADHDの症状。その原因を解明するための研究が進められていますが、確定的といえる研究結果はまだ出されていません。ただ、統計上の数字でぜひ注目しておきたいデータは出ています。それは、ADHDと診断された子どもの男女比は、男性のほうが圧倒的に高いという数字です。

ADHDであると診断されている子どもは、全体のおよそ5%です(※)。その中で、ADHDの男児の人数はADHDの女児よりも多く見られる傾向があり、一説には3~5倍にものぼると言われています。性別によって症状が目立ち、診断されやすいということも理由の一つです。

ADHD特有の症状が子どもにみとめられた場合は、もちろん性別に関係なく医師などに相談することが大切です。男児であれば、成長して力が強くなる前にコントロールを学ぶサポートが必要でしょう。

(※)参照元:塩野義製薬 / 武田薬品工業:https://www.adhd-info.jp/parents/adhd-about.html

ADHDの子どもへの接し方

ADHDは脳の機能の発達にかたよりが生じて起こるもので、育て方やしつけに起因するものではありません。

ただ、特性を理解しないままだと、ただしつけが厳しくなるだけで症状は改善できません。ADHDの子どもへの接し方にはいくつかポイントがあるので紹介します。

1/集中力を高める、途切れさせないよう工夫する
学習など集中を求めるときはテレビを消す、おもちゃを片付けるなど視覚的な刺激を取り除きます。

2/上手にほめる
上手くできたら、その場ですぐにほめます。子どもと目を合わせて喜ぶ、抱きしめるなど感情を表します。適切な行動がとれたら、シールやスタンプなどを渡すのも効果的です。

3/好ましくない行動をしたら
まず注意せずに少し遠くで見守ります。落ち着いたらそのことをほめて、「次はこうしたら良い」と代わりの行動を教えます。
遠くから大声で注意するのではなく、子どもに近づいて静かに話しかけることが大切です。
「やめなさい」「だめ」では何をどうしたら良いのかが分からず、求められる正しい行動へとたどりつけません。具体的に「その○○を下に置きなさい」など指示をするようにします。

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注意欠陥/多動性障害(ADHD)の子どもへの接し方 具体例

注意欠陥/多動性障害(ADHD)の子どもに接するときは、どのような接し方をするのが良いのでしょうか。こちらではいくつか具体例を挙げてご紹介したいと思います。

すぐに友達とけんかをしてしまう

こんな時の接し方としては、まず、けんかをしたり、乱暴をしたりした理由を理解してあげること。そして、どうしてそのようなことになったのか、理由を聞いて、子どもの気持ちに共感してあげてください。

その後、乱暴をすることはいけないことだと静かに教えて、次にそうならないための解決策を提示してあげましょう。注意欠陥/多動性障害(ADHD)の子どもは傷つきやすく悲観的になりやすいので、しからずに理解してあげることが大切です。

  • 理由…「勝手に消しゴムを持っていったから」
  • 共感…「消しゴムを持っていかれて嫌な思いをしたんだね」
  • 対策…「次にされたら、勝手に持っていかないでって言うのはどうかな?」

それでも同じことは起きるかもしれませんが、何回かこの接し方を続けてみてください。似たような出来事が起きたら、解決法を紙に書いて見られるようにしておくと良いかもしれません。

けんかが心の問題に繋がる可能性も

ADHDの子どものけんかについては、ADHDの特徴的な行動を表すチェックリストにも記載があり、多くのADHDの子どもに見られる特徴です[2]。ですが、ADHDの子どもは、けんかや人間関係のトラブルによって、自尊心の低下や心の問題を引き起こしてしまう可能性もあるとされています[3]。 悲観的になりやすいADHDの子どもが、友人とのけんかなどによって心の問題を引き起こす可能性は高いでしょう。子どもの精神面を健やかに成長させるためにも、衝動性をコントロールできるように、けんかをした理由を聞き、解決法を導き出してあげることが大切です。

また、もしもけんかをしてストレスを抱えているようなら、ポジティブな経験をさせてあげることで、ストレスを軽減することができます。衝動性によって二次的な問題が出ないよう、配慮してあげてください[3]。

忘れ物は一緒に確認

注意力が足りないことから、学校に行くときにも忘れ物をすることが多くなります。忘れ物をすることは、脳の記憶を司っている部分の機能がうまく働いていないためです。 そのため、前日には明日持っていくものを一緒に確認してあげる、ということが大切になります。

  • 子どもと一緒に持ち物を確かめる
  • 荷物は複数にわけず、なるべくまとめる
  • 持ち物チェックリストを作る
  • 持っていくものはまとめて玄関に置いておく

持っていくものを分かりやすくすることが効果的なので、複数のバッグなどにわけると注意が分散されてしまい、忘れ物をしやすくなります。ノートを教科ごとに分けずに一冊にするなどの方法もおすすめです。

また、チェックリストは一目で見てわかるように、イラストや写真がついた表形式のものを用意しておくと、一人でも確認しやすくなるでしょう。

忘れ物を確認しながら忘れ物を防ぐ方法を教えよう

ADHDの子どもの忘れ物の多さは、「時間の経過によって覚えたことを忘れてしまう」という傾向からくるものです。本人も大切なことだとわかっているにも関わらず、時間の経過とともに忘れてしまいます[2]。 この傾向は子どものときだけではなく、大人になってからも継続して見られることがあるため、忘れ物をしなくなる工夫を教えることが大切です[2]。

上でお話ししたように、子どもと一緒に忘れ物のチェックをしながら、忘れ物をしないためにはどうするべきか、ということを学習させましょう。チェックリストを作る、荷物をまとめる、などのポイントを教えてあげることで、忘れ物を防ぐための習慣を身に着けることができます。

また、身の回りの整理整頓をすることで、忘れ物を減らすこともできるので、同時に整理整頓を習慣にすることも効果的でしょう[2]。

行動のルールを決めておく

宿題をしない、ずっとゲームをしてしまう、突然いなくなるなどの行動が目立つ場合は、子どもと行動のルールを約束してみてください。

・宿題
ごはんの前に全部終わらせる、ごはんが終わったら宿題を始めるなど

・ゲーム
ゲームは宿題が終わってからする、タイマーが鳴ったらゲームは止めるなど

・突然いなくなる
家を出るときにはどこに行くのか伝えてから出掛ける

このようにルールを決めて、見えるところに貼っておくことで、本人も忘れずにそのルールに沿った行動ができるようになります。こちらもイラストなどを使うと理解しやすくなります。

また、もしこれらのルールを守ることができなくても、怒らないようにしてあげてください。ADHDの子どもは、怒られると、怒られているということで頭がいっぱいになり、話している内容が理解できなくなってしまうためです。

反対に、ルールを守れたときにはすぐに褒めてあげるようにしましょう。

行動のルールを決めるときに役立つカード

アメリカのADHD専門病院では、行動のルールを決める時に、色がついたカードなどを利用しています。例えば、授業中に質問をして良い回数を決め、その回数分のカードを持たせます。1回質問をしたらカードが1枚なくなるので、「質問をしても良い回数を決めたルール」が視覚的に分かりやすくなるでしょう[2]。 これは授業での取り組みですが、家庭でも取り入れることができるでしょう。カードを使えば直感的に分かりやすく、残っているカードの枚数を見ることで、一旦自分の行動について考えることができ、衝動的な行動を控えることに繋げられる可能性があります。

言葉によるルールを決めても、衝動性が現れるとつい忘れてしまいがちです。そのため、手元に残るカードなどを利用することは、非常に有効な方法です。

注意欠陥/多動性障害(ADHD)とうまく接するために

注意欠陥/多動性障害(ADHD)の子どもとの接し方を見てきましたが、共通して言えるのは次のようなことではないでしょうか。

  • 感情的にならない
  • 怒らないで穏やかに言い聞かせる
  • 視覚的にわかりやすいルールを作る
  • 子どもを尊重して共感する

ですが、できていないところを見ると、ついイライラしてしまうという場合もあると思います。その点を改善するためには、やはり子供を適切な施設に通わせることが一番の方法です。

例えば、注意欠陥/多動性障害(ADHD)の子どもを上手にサポートしてくれる塾があります。このような塾では子どもの能力を上手に伸ばし、問題点を改善してくれるので、親としても余裕を持って子供に接することができるようになるでしょう。

ADHDの子どもへの特別教育の重要性

ADHDを含む発達障害を持つ子どもは、特別教育を受けることが大切だと言われています。平成14年には「今後の特別支援教育の在り方について(中間まとめ)」という文書が公表され、障害を持つ子どものために教育改革を行うべきだと提示されました[2]。 この文書の中では、発達障害を持つ子どものための教育の、基本的な考え方が示されており、それは次の3つの項目となっています[2]。

  • 1.個別の教育支援計画の策定
  • 2.全ての小中学校に特別支援教育コーディネーターを配置
  • 3.広域特別支援連携協議会などの連携協力体制

この項目を見ると、個別の教育支援を行っている塾は、この基本方針に沿った教育機関だと言えるでしょう。2番と3番の教育を個人で実現することは難しいですが、1番であれば塾に通うことで実現可能な教育です。

注意欠陥/多動性障害(ADHD)の子の頭の中

ADHDの子どもが何を考えているのか、どう感じているのか、頭の中を知ることができれば、ADHDの子どもとの接し方も楽になりますし、子どもへの理解も深めることができます。そこで、ADHDの子どもの頭の中を、具体例を挙げて覗いてみましょう。

評価されることが少ないため自尊心が低い

ADHDの子どもは、同年代の子どもと比べて能力が低いことが多く、大人から高い評価を受ける機会が少ないもの。それによって、ADHDの子どもは自尊心が低くなりがちです。こちらでは、ADHDの傾向がある子どもが運動会の練習をしたときの話があるので、事例としてご紹介します[1]。

その子は加技走の練習のときに、ライバルである子と一緒に走ることになったのですが、ライバルの子に追い抜かれた瞬間、走ることを止めてしまいました。そして、次の練習を始めることを拒否したのです。 ライバルに追い抜かれたときに走ることを止めれば、負けたことにはならないため、自身のプライドは守られます。自尊心が低いからこそ、その自尊心を守るために走ることを止めてしまったのでしょう。

他の子どもの邪魔をしたり、知っていることを言わずにはいられないことも、自尊心を守るための行動なのかもしれません。

一呼吸置いて考えることができない

ADHDの特徴として、「衝動的な行動が目立つ」というものが挙げられます。 障害がない人であれば、「この本を買おうかな?」「旅行に行ってみようかな?」と、思いついたことに対して思考を巡らせることができますが、ADHDの衝動性では、「一呼吸おいて考える」ことができないのです。

気になった本があれば「この本を買わなくちゃ!」、行きたい場所が見つかったら「ここに行かなくちゃ!」と考えてしまうため、衝動的な行動に繋がります。 これは、思考ができないというよりも、行動をすることを焦ってしまうという方に近いかも知れません。突然いなくなってしまうことも、「行こうかな?」と考える前に、「行かなくちゃ!」と思ってしまうためだと言われます。

他人とトラブルになるのは「実行機能」が低いため

「実行機能」というのは、その名の通り、行動を実行するまでの段階で必要とされる機能のことを言います。人間は行動を起こすときに、6つの段階で思考や行動を考えますが、ADHDの子どもはその機能が低いため、他人とトラブルを起こしやすいと言われています。

  • 1.状況に気づくための力
  • 2.状況を解釈するための力
  • 3.行動の目標を設定する力
  • 4.行動の内容を考える力
  • 5.行動することを決定する力
  • 6.行動を実行するための力

これらの6つの段階によって人間は行動します。 状況に気づくことができないと誤解を生むこととなり(1)、解釈が間違っていれば他人や自分に対して怒りなどの感情を持つこともあります(2)。 行動の目標が「人と仲良くする」ことではなく、「自分を守る」ことになっていれば、トラブルの引き金になりますし(3)、行動内容を考える力が弱いと適切な行動がとれません(4)。

そして、4番目までの段階がうまく機能していなければ、適切な行動を決めることはできなくなるでしょう(5)。さらに、行動を実行するためには、コミュニケーション能力や社会的スキルが必要になるため、ADHDの子どもがスムーズに行うことは難しいものです(6)。 他人とのトラブルを引き起こすだけでなく、全般的にADHDの子どもが適切な行動を取ることができないのは、このような実行機能が弱いためだと考えられます[1]。

ADHDは治るのか

ADHAは、脳内の神経伝達物質ノルアドレナリンやドーパミンが何らかの原因で不足し、情報伝達が十分に行なわれなくなることを原因に症状が出ると考えられています。ADHDの治療は、薬物療法と行動・環境療法(心理社会的治療)の2つのアプローチから行なわれることが多くなっています。完治させるのではなく、症状を抑えながら出来る限りADHDと上手に付き合っていく方法や環境づくりを、子供一人ひとりに合わせて見つけていくことが治療の大きな特徴です。
「怠けている」「何をしてもダメ」などと言われていた子が、ADHDだとわかったことで、子どもの頑張りが認められたり周囲からの理解が深まったりすることで自信をつけられることもあるのです。

心理社会的治療

心理的社会治療を学ぶために、「ペアレントトレーニング」や「ペアレントプログラム」、「ソーシャルスキル・トレーニング」などがあります。ADHDの子どもにの特有の言動・性質を理解した上で、どのような接し方がよいのか、子どもが自信を持ち自分の特性をきちんと理解した上で行動するための「環境調整」の仕方を学べます。

薬物療法

周りの大人や教師からの働きかけによるサポートだけでなく、ADHDの症状をおさえるために薬剤を利用する「薬物療法」も存在します。「ADHD薬」とされている薬剤は、2021年12月調査時点では3種類(※)が販売されている状態です。ADHDの症状には個人差があるので、それぞれの症状に合った薬剤を選びましょう。

また、抗うつ薬や気分安定薬、抗精神薬が薬物療法に取り入れられるケースや、新しく抗ADHD薬の治験に取り組んでいる医療機関もあります。必要に応じて、ライフスタイルを考慮した薬物を選ぶことが大切です。

(※)参照元:つだ小児科クリニック:https://tsudashonika.com/disease-cat/dd/adhd/

ADHD(注意欠如・多動症)の検査

ADHDを検査する方法は多岐にわたります。診断自体は、問診後に行う「ADHD-RS(Rating Scale)」や、保護者や本人への質問紙を用いる行動評価「Conners」があります。またこれらのような、「質問への回答を中心とする検査」だけでなく、体の状態を直接検査することも可能です。たとえば、脳波検査で脳機能を診たり、あるいは知能検査を含む心理検査も必要であれば行われます。

また、血液検査・頭部画像検査などを受ければ、背景疾患についても詳しくわかります。

ADHDにおける社会生活の課題を解決・改善した体験談

ADHDの旦那は服薬で改善しました

(前略)夫は注意欠陥型ですが、薬を飲み始めてから「集中できるようになった。」、「明らかに違う。」と自覚があるほどに変わったようですよ。
ちなみに都内私立トップ大学に現役で合格、IQ120程度、大企業の総合職役付なので能力としてはそれなりにある中でも薬を飲むと違うという実例ですね。
体調によりむらはありますが、外から見ていても明らかに注意散漫が減りましたし、仕事後の疲れているときでも会話をしてくれるようになりました。子供と遊んだり家事をする余力も出ました。「キャパが増えた。へろへろにならなくなった。」と本人は話します。
ただ飲みはじめの副作用は相当だったようなので、旦那さん自身が治療したい気持ちがなければ続かないかな、と思います。
薬の合う合わないもあるでしょうしね。(後略)

引用元:発言小町|春への扉 2023年7月19日 15:56(https://komachi.yomiuri.co.jp/topics/id/1115088/)

大人のADHD持ちです

(前略)薬は体に負担がかかるので、食事療法も試してみて欲しいです。
「発達障害の子どもが変わる食事」という本が詳しくてオススメですが、私自身はよくADHDの原因と言われる2種類の食べ物を除去したらビックリするぐらい変化がありました。
仕事の集中力の不持続、取り掛かるまでの重い気持ち、どうしていいか分からない整理整頓など、脳内の混乱が収まり、みんなこんなクリアな頭でいつも生活してるの??どおりでみんなシッカリしてる訳だわ!と目から鱗でした。3週間ぐらいで効果が出ました。

引用元:発言小町| pen 2016年4月19日 13:08(https://komachi.yomiuri.co.jp/topics/id/759157/)

特性と適正の見極めが大事

(前略)うちは子供がADHDです。頭がよく、やることすべてを選びます。道では飛び出す、寝ない、育てにくい子でした。話を聞いてない、忘れ物や落とし物が多い、気持ちの切り替えができない、他人に興味がない、思いやりがない等々。
性格が父親にそっくりで、父親が発達障害だと気づきました。
その父親、コンピューター系は苦手。頭のなかで予測やイメージするような企画も苦手。
マニュアルがあり、裁量が限定されている今の仕事に適正があります。対企業です。(後略)

引用元:発言小町|梨子 2022年8月15日 19:57(https://komachi.yomiuri.co.jp/topics/id/1071109/)

早期の対処が重要

ADHDなどの発達障害は、学校や幼稚園などに通い始めて「他の子と比べて落ち着きがないかもしれない」などというきっかけで早期発見へと繋がることも多いと言われています。早期発見は、落ち着きがない、衝動的な行動が多いなど叱責されてしまうことが多かった子どもの行動の原因を周囲の大人が理解し、特性に合わせた対処や環境づくりをしてあげられるという点でとても意義のあることです。
子どもにとっても「なぜかうまくいかない」「なぜか怒られてしまう」ということが減り、より健やかに成長することができるでしょう。治療は、日々の生活を改善していくことから始まります。ADHDは病気というよりも子どもの個性・特性と考え、その特性との付き合い方を子ども自身、そして家族が探っていく上でも大切です。
早めに自分の特性を知ることができれば、将来社会人となったときも対処・対策を考えるのがスムーズになるのです。

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【参考URL】

参考[1]:富山大学教育実践総合センター『ADHD傾向を示す軽度知的障害児に関する事例研究 : self-esteemの向上に着目して』
https://ci.nii.ac.jp/els/contents110004652518.pdf?id=ART0007375676

参考[2]:(PDF)独立行政法人 国立特殊教育総合研究所情緒障害教育研究部『注意欠陥/多動性障害(ADHD)児の評価方法に関する研究』
http://www.nise.go.jp/kenshuka/josa/kankobutsu/pub_b/b-180/b-180.pdf

参考[3]:(PDF) 日本教育心理学会『中学生の不注意および多動性・衝動性と内在化問題との関連』
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjep/63/3/63_217/_pdf

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