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発達性運動協調障害(DCD)

発達性協調運動障害(DCD)の特徴やおもな症状を解説しているページです。

発達性協調運動障害の特徴

2つ以上の動きを同時に行うことを「協調運動」と言います。 発達性協調運動障害とは、2つ以上の動きを同時に行うことが困難になる障害です。例えば自転車に乗るときに手でハンドル操作をしながら足でペダルをこぐなど、異なる動きを同時に行うことが難しい状態です。

2:1~7:1で女子より男子の方が発症しやすいといわれており、5~11歳までの子供では5~6%の確率で発症すると考えられています。

発達性協調運動障害の原因は、まだ詳しく解明されていないのですが、早産児や低出生体重児によく見られる障害です。また、妊娠中に母親がアルコールを摂取することも発症の可能性を高めるのではないかといわれています。

特徴としては、次のような障害が挙げられます。

  • 1.筋肉の制御に対する障害(筋肉をうまく動かせない)
  • 2.神経発達過程の障害(視覚的な運動機能の障害)
  • 3.運動技能の欠如(日常生活内の動きが困難になる)

これらの障害により、発達性協調運動障害の子供は年齢や知能に比べ、運動能力が著しく低かったり、日常生活の簡単な動作にも不器用さが見られるようになります。

発達性協調運動障害はADHD(注意欠陥・多動性障害)やASD(自閉症スペクトラム、アスペルガー症候群)の症状も同時に見られることがあるため、こちらの障害に包括されてしまうことが多いです。

発達性協調運動障害とADHDを同時に持っている子供は、ADHDのみを発症している子供に比べて、強い症状が現れます。

発達性協調運動障害のおもな症状

  • 寝返りやハイハイなどの習得が遅い
  • 一つひとつの動作に時間がかかる
  • 球技などの複雑な動きができない
  • 何もないところで転ぶ
  • 転んだときに手をつけない
  • 歩いているときに物にぶつかりやすい
  • ボタンを留める、靴紐を結ぶなどの日常動作が困難
  • ラジオ体操やダンスなどで手足がついていかない
  • 文房具や箸、スプーンなどをうまく使えない
  • 姿勢を保つことが苦手で、姿勢が悪いことが多い
  • 物を掴むときの力が弱すぎる、強すぎる
  • バランス感覚が悪く、椅子から落ちてしまう

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子供に対する発達性協調運動障害の治療法

発達性協調運動障害は、以前は「ただ不器用なだけ」と思われているものだったため、発見されないことも多い障害でした。

ですが、日常生活の動作が困難になると、学校でいじめられる原因にもなるため、何らかの症状が見られるときには、早めに病院を受診して治療を行うことで改善が望めます。 病院での治療法は、作業療法と理学療法の2つを行うことで改善を目指します。

作業療法

歩く、物を掴む、文房具を使うなどの日常動作に対するサポートを、遊びの中で行います。

理学療法

運動機能の改善を目的としたもので、理学療法士によって運動や行動の訓練が行われます。

発達性協調運動障害の改善は病院の治療だけではなく、家庭でできる訓練によってもその効果を発揮します。発達性協調運動障害の子供は指先の微細な力加減を調整すること、視覚と筋肉の動きを結びつけることなどが苦手なので、それらの能力を発達させるための訓練を遊びの中で行うことが効果的です。

例えばブロックを使ってさまざまなものを作ることで細かな作業の訓練をする、粘土で遊ぶことによって指先の感覚を鍛える、アスレチックで遊ぶことによって体重を支える力加減を学習する、といった方法が考えられます。

発達性協調運動障害の子供は、同年齢の子供たちが難なくできることができないため、自尊心が低く、劣等感を抱いていることも多いものです。

もしうまくできないことがあったとしても、気長に楽しみながら訓練を続けてあげましょう。失敗した時でも、優しく受け止めてあげることが大切です。

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発達性協調運動障害(DCD)

発達性協調運動障害(DCD)は運動機能だけに障害があるので、特別な接し方が浮かばない方もいるのではないでしょうか。 そこでこちらでは、運動機能を改善させるための接し方として、具体的な方法をご紹介します。

苦手な動きは目に見える形で示す

発達性協調運動障害(DCD)の子どもは、自分がうまく動けていないことに気がついていない場合もあります。例えば、肘を思いっきり伸ばしている状態だと思っていても、周囲から見れば全く伸びていないという風な状態です。

そのため、その状態を視覚的に見えるような形にしてあげると、他の人と違っているということが分かりやすくなります。

肘が伸びていない例だとすると、思いっきり万歳をしてもらって、その姿を写真に撮って本人に見せます。その時に通常の万歳をした写真と比較してみるのも良いでしょう。そうすると、自分の肘は伸びていなかったのだということに気がつくことができます。

運動機能を高めていくには、まず自分の苦手なところを発見することから始めます。そのためには、親が子どもをよく観察してあげる必要があります。

うまくできるようにサポートしてあげる

苦手な部分を自覚させたら、今度は平均的な状態にできるようにサポートしてあげます。上でお話しした肘が伸びていない例であれば、手を添えて肘を伸ばした状態を作ってあげます。恐らく、手を放すとすぐに元に戻ってしまいますが、元に戻ったらまた伸ばしてあげます。

この様なサポートを続けると、だんだん肘を伸ばした感覚が理解できるようになってきて、少しずつ肘を伸ばすことが出来るようになるでしょう。上達したらたっぷりと褒めてあげることが大切です。

この練習はできれば毎日続けてやった方が効果的です。間を空けると、せっかく覚えた感覚を忘れてしまうので、ある程度できるようになるまでは続けて練習してください。もちろん、例で挙げた肘以外の場所でも同様です。

練習は子どもが楽しめるようにする

これは発達性協調運動障害(DCD)ではない子どもも同様ですが、嫌々練習をしても上達しません。子どもが楽しみながら練習できるようにすることが大切なので、ゲームや遊び感覚で行うのがおすすめです。

上でご紹介してきた練習も、親とのスキンシップとして楽しめれば、訓練という感覚はなくなります。その他、実際に遊具やゲームを使っての練習であれば、子どもも進んで練習してくれるようになるでしょう。

ブランコとアスレチック遊具で学べること

例えば、公園のブランコやアスレチック遊具を使用すれば様々な訓練ができます。

  • 鉄棒や鎖を使って物を握ることを覚える
  • 体重を支えるために必要な力の入れ方がわかる
  • ブランコに乗ってバランス感覚を磨く
  • アスレチックで物との距離感を計ることを学ぶ

2つの遊具を使った練習を考えてみても、これだけ多くのことが学べます。ただし、落下の危険性などもあるので、傍にいて助けてあげられるようにしてください。

療育機関や医療機関の支援を受ける

発達障害の子ども専門の機関を利用すれば、プロのサポートを受けられるため、運動機能の大幅な改善も期待できます。また、接し方や運動訓練のアドバイスを受けることができる点も大きなメリットです。

ただし公的なところであれば、画一的で子どもの個性に合わせた訓練ができない場合もあります。やはり、民間の機関である方が子どもひとりひとりに合わせて融通を利かせてくれる可能性は高いでしょう。

民間の専門機関の中でも気軽に利用出来て、子どもの個性に合わせた訓練を行ってくれる塾もあります。子どもに合わせてカリキュラムや教材を作ってくれる塾もあるので、子どもに適したサポートが受けさせられます。

子どもに最も合う塾を見つけるためには、見学会などに参加してみることがおすすめです。

発達性運動協調障害(DCD)とただの不器用の違いについて

発達性運動協調障害(DCD)は、動作が不器用なことが特徴的で、DCDが認知される以前は、DCDを持っている子どもは「不器用な子ども」と認識されていたほどです。 それでは、DCDと不器用の違いはどこにあるのでしょうか。DCDは、「Developmental Coordination Disorder Questionnaire 2007 日本語版(DCDQ-R)」[1]によって診断されます。こちらでは、この診断基準の内容についてご紹介していきます。

DCDQ-R 日本語版による診断について

DCDQ-Rは、DCDを診断するための国際的な基準で、対象年齢は5歳~15歳ですが、子どもの頃を思い出して回答することもできるでしょう。この診断基準は主に3つに分けられており、その項目は次のようなものとなっています。

  • 動作における身体統制
  • 書字・微細運動
  • 全般的協応性

これらに含まれる項目を見て、他の子どもと比べてどれだけ当てはまっているか、点数をつけていきます。「全く当てはまらない」であれば1点、「当てはまる」であれば3点、「全くそのとおり」であれば5点、という風に点数をつけていき、合計した点数が高いほどDCDの可能性が高いとなります。

動作における身体統制

「動作における身体統制」には6項目が存在していますが、代表的な項目としては次のようなものです。

  • ボールを投げるのが苦手
  • ボールを捕るのが苦手
  • 走ることが苦手

DCD診断基準の日本語版は、主に学校での場面を想定して作られているようなので、DCDが疑われる子どもの診断に適しているでしょう。動作における身体統制は、基本的な体の動きに対する苦手さを計るための項目となっており、体のバランスや大きな筋肉の動きに関連しています。

書字・微細運動

「書字・微細運動」の中には4つの項目があり、動作における身体統制よりも細かな動きについて判断します。

  • はさみを使って切るのが苦手
  • 正確に書くことが苦手
  • 文字を速く書くことが苦手

指の細かな動きが必要になる動作に対する項目で、基本的な細かい動きができるかどうか、という点が計れます。「不器用」と判断されることが多い動作は、この項目にあるものが一番顕著かもしれません。

全般的協応性

「全般的協応性」には5つの項目が用意されています。全般的協応性は、運動すること全般に対応する質問項目です。

  • スポーツに参加するのが好きか
  • 疲れやすい

このような質問事項となっており、子どもがどれだけ「運動」を苦手としているか、という点を計れるようになっています。

DCDと不器用の違いは「基本的な動作ができるかどうか」

DCDの診断基準についてご紹介しましたが、診断のための質問事項を見ていくと、「基本的な動作ができるかどうか」という点が重視されているように感じます。 ただ不器用なだけの子どもは、よく注意をしていれば、はさみを使ったり、文字を正確に書いたりすることはできると思います。ですが、DCDでは日常的に難なくできるはずの動作が困難、という症状が特徴的です。

  • 食事や排せつ、着替えなどの動作ができない
  • はさみや箸などの道具が使えない
  • 他の子どもの動作についていけない

このように、不器用という枠の中では片づけることができない問題が出てくるのが、DCDの症状だと言えます。

動作の苦手さが日常生活に影響を与えていることもポイント

また、アメリカ精神医学会で使用されている「精神障害のための診断と統計のマニュアル」によると、次のような点も、不器用とDCDの違いだと考えられるでしょう。

  • 協調運動技能が年齢や学習、使用機会によって期待されるよりも明らかに劣る
  • 運動の苦手さが日常生活活動に支障をきたしている
  • 学校や遊び、仕事などに影響を与えている

こちらを見ると、運動や細かな動作が苦手だということに加えて、日常生活や学校、遊びに影響を与えているという点も、不器用さとの違いです。[1]

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【参考URL】

参考[1]:【PDF】厚生労働省『発達障害児者支援とアセスメントに関するガイドライン』
http://www.rehab.go.jp/ddis_pdf/135.pdf

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