広汎性発達障害(PDD)
広汎性発達障害(PDD)の特徴や主な症状にはどんなものがあるのでしょうか。症状や特徴に加えて、アスペルガー・自閉症スペクトラム(ASP)との違いや関係性についても解説します。
広汎性発達障害(PDD)とは
広汎性発達障害(PDD)とは、コミュニケーションと社会性の障害並びに限定的、反復的及び常同的な行動などがみられる障害の総称です。 発達障害は、大きく分けて次の3つに分類されます。
- 広汎性発達障害(PDD)
- 学習障害
- 注意欠陥・多動性障害
広汎性発達障害(PDD)に分類されるのは、自閉症やアルペルガー症候群、小児期崩壊性障害、特定不能の広汎性発達障害などがあり、レット障害も広汎性発達障害のひとつです。
広汎性発達障害(PDD)の主な症状・特徴
広汎性発達障害(PDD)の症状や特徴は次のようなものがあります。
人間関係・対人関係の問題
- 他人とのコミュニケーションが苦手
- 視線を合わせられない
- 友達ができにくい
- 感情の共有が難しい
- 相手を無視してしまうことがある
思考の柔軟さに欠ける
- 習慣やルールに強いこだわりを持つ
- 興味があることに関してはとことん知りたがる
- 杓子定規な対応が目立つ
- 言語を厳密に解釈しすぎる
感覚の感受性が特別
- 音や見えるものなどに対して極端に敏感、極端に鈍感
- 味覚や食感、色に基づく偏食等
その他の症状
- 睡眠障害
- パニック(不穏)など
参考:【PDF】『発達障害児者支援と アセスメントに関する ガイドライン』特定非営利活動法人 アスペ・エルデの会、平成25年3月
http://www.as-japan.jp/j/file/rinji/assessment_guideline2013.pdf
自閉症スペクトラム障害(ASD) との関係性
自閉症スペクトラム障害(ASD)と広汎性発達障害(PDD)の違いがわかりにくい、というかたも多いかもしれません。結論から言ってしまえば、2つはほとんど同じものを指しています。 なぜ呼び名が違うのかというと、それは診断基準の違い。1990年に公表された「ICD-10」と1994年に公表された「DSM-4」という2つの診断基準では、広汎性発達障害(PDD)と呼ばれていたものが、2013年に公表された新たな診断基準「DSM-5」によって、自閉症スペクトラム障害(ASD)と呼ばれるようになりました(※)。
広汎性発達障害(PDD)の子どもへの接し方
広汎性発達障害(PDD)の子どもへの接し方の注意点としては、次の4つのポイントがあります。
①予習でサポート
想像力が乏しく、思考の柔軟性に欠けるため、勉強や遊びなどでルールをすぐに理解できないことがあります。何か物事に取り組む時には、事前に一緒になってルールや勉強内容などを予習してあげましょう。
②気持ちを具体的に口に出して伝えてあげる
言葉を杓子定規に受け取ったり、厳密に言葉を解釈したりする傾向にある広汎性発達障害(PDD)の子どもは、相手の気持ちを想像することが難しいと言われています。 「言わなくてもわかるでしょ」と怒るのではなく、「私は怒っている」と具体的な言葉で気持ちを伝えてあげるように心がけましょう。
③恐怖心を与えたり無理強いをしたりしない
親や周囲の大人としては、本人の成長のために何かにチャレンジをさせたいと思うこともあるでしょう。ただし、広汎性発達障害(PDD)の子どもの場合、不安や緊張を感じているのに無理強いされてしまえば、パニックに陥ったり、トラウマになってしまうこともあるので注意しましょう。
④不安や緊張を共感で和らげてあげる
騒々しい環境や特定の音を怖がるなど不安を溜め込みやすい傾向にあります。そのため、怖がったり不安な様子を見せたとしても、「しっかりしなさい」と叱るのではなく「怖かったね」「緊張しちゃうね」とまずは共感を示して、不安感をやわらげてあげることが大切です。
広汎性発達障害(PDD)の子どもへの接し方 具体例
広汎性発達障害(PDD)の子どもにも、それぞれ違った特徴があると思います。ですが、ある程度の傾向は見られるので、その傾向に沿って子供への接し方をご紹介します。
人の気持ちを教えてあげる
広汎性発達障害(PDD)と診断された子どもは、他人の気持ちを感じることが苦手な傾向があります。悪気なく傷つけるようなことを言ってしまうこともあるので、社会で生きていくことに困難が生じるようになってきます。
仕事をする上でもこの点は直しておいたほうが良いので、他人に対して無神経な言葉を発したときには、言わない方が良いことだと教えてあげてください。そのときには、言わない方が良い理由も一緒に説明してあげましょう。
例えば、「あの人はとても太っているね」と言ったとしたら、「太っていると言われると、とても悲しい気持ちになるからもう言わないであげてね」という風に諭します。
他人の気持ちを考えることが苦手なので、発した言葉によって他人がどんな気持ちになるのか、ということを教える必要があります。
ルールや説明したいことは目に見えるように
発達障害の子ども全般の傾向ですが、聴覚による情報よりも視覚による情報の方が理解しやすいようです。そのため、覚えておいてほしいことやルール、教えたいことなどは、目に見えるような形で伝えることがおすすめです。
ただし、文字だと分かりにくい場合もあるので、写真やイラストを使って伝えるのが良いでしょう。例えば、上でお話しした、人の気持ちを教えることに関しても、実際にあった状況をイラストに描いて表現しておけば、話として聞くときよりも記憶に残りやすくなります。
また、広汎性発達障害(PDD)の子どもは、スケジュールに関して柔軟性がない子どもが多いので、予定が変更になるとパニックを起こしてしまう子もいます。そういう時にも、目に見える形で時間管理をしてあげていれば、予定が変更になっても対応しやすいでしょう。
他の子どもと比較しないように
「他の子どもは出来るのに…」と、つい心の中で思ってしまうこともあると思います。ですが、広汎性発達障害(PDD)の子どもの出来ないところを見るのではなく、出来たこと、がんばったことの方を見てあげるようにしてください。
他の子どもが難なく出来ることが出来ないということを、一番気にしているのは本人です。様々なことが出来ない自分に対して、自信を喪失してしまうこともあります。親はそんな子どもを励ましてあげなくてはいけない立場です。
出来ない部分よりも出来るところを見つけて、子どもを否定しないであげてください。そして、何かが出来たときには、すぐに褒めてあげるようにしましょう。
接し方に迷ったときは専門施設がおすすめ
ここまで広汎性発達障害(PDD)の接し方について見てきましたが、それでもやっぱり接し方がわからない、失敗してしまう、ということもあるでしょう。そういう場合は、障害のある子専門の施設に通わせるというのもひとつの方法です。
専門の施設では障害児と接するプロである先生からのアドバイスが受けられますし、同じような境遇の親との交流もできます。また、先生に様々な相談が出来るという点もメリットです。
障害児専門の施設の中でも、比較的気軽に通うことができる施設に、塾があります。月額料金が手頃で、1年間だけ通学することも可能。様々な年齢層の方が通っているので、コミュニケーション能力を高めることにも役立つかもしれません。
この様な塾は各地にありますが、学校と違って個性豊かで、子どもの特性に合わせて好きな塾を選べるというのもポイントです。詳しい情報については次のページからご覧になってください。